モノづくりを楽しむために那須へ

雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『モノづくりを楽しむために那須へ』

中村光由さん、ヒロ子さんご夫妻

「芭蕉温泉ランド」分譲地の一角にある中村さんご夫妻の別荘。その玄関を開けると、真新しい木の香りに包まれた。ご主人の光由(みつよし)さんが狭い玄関を改築し、自作の下駄箱を設けたばかりなのだ。リビングから出られるベランダも、きれいに作り直してある。さらに、奥の部屋をホームシアターに改造。

「これを造るのが夢だったんですよ。あんまり広くないけど、プロジェクターで映画やテレビを観るのが楽しみなんです。図書館に行くと、いまはビデオやDVDもある。新しい作品だって3ヶ月で借りられるから、買わなくて済むんですよ。」

ベランダの向こうには、小さなログハウスと小屋が見える。これも光由さんが手作りしたものだが、使用しているのは妻のヒロ子さん。本格的に陶芸を楽しむための工房なのだ。作品は大皿、花瓶、カップなど多種多様で、デザインも独創的。販路があるかと思いきや、ほしい人にはすぐにあげてしまうという。陶芸の魅力を聞くと、「芸術の中で唯一、免許がいらないんです。少し形が曲がっていても、自分が気に入ればいいんですね。陶芸は千葉県の教室で始めたんですが、自宅に窯を作るのは大変。それがやりたくて那須にきたんです」と手動のろくろを回しながら話してくれた。

 灯油窯の設置も完了し、まもなく火入れ式を行う予定。均一に焼ける電気窯より面白みがあり、ケチャップを付けて焼くとワラを巻いたような感じの模様もできるという。工房の壁には、陶芸教室の先生が評した「ヒロ子さんは自分の本物を探し始めた」という一文が見える。彼女だけの世界が作風に表れているからだろう。

光由さんは全国を飛び回る転勤族だった。しかし、高いアパート代がもったいないと、6年前の退職を機に千葉県鎌ケ谷市に新居を構える。その後も同じグループ企業に勤めていたが、完全にリタイアしたらモノづくりを楽しもうと4年前に那須の家を購入。建物に自分で手を加えたかったので、最初から中古物件を選んだ。2つもマイホームを持っているのはうらやましい限りだが、実は親族が住んでる新潟市にも住居がある。全部で3つ。現在は1週間ごとに那須の家、新潟の家を回り、千葉県に戻る生活というから実に行動的だ。千葉から那須へは国道294号線を北上するだけ。2時間ちょっとの移動で、高速を利用するよりも速いという。千葉と新潟の家はそれほど広くないので、約100坪の那須の敷地が体を動かす場となっている。

「現役時代は事務系だったんですけど、先端のコンピュータ技術も間近で見てきた。だから機械や道具をいじるのが好きなんですよ。子どもの頃は手塚治虫の『鉄腕アトム』にも心酔した世代ですからね。私は即決即断するタイプ。那須のプチホテルに泊まって、翌日には物件を決めていました。ここは別荘地帯より雪が少ないというし、家に引き込まれていた温泉もツルツルしていいと思ったんですよ。体を動かしたあとは自宅で温泉を楽しんでいますが、汗疹なんかすぐに治ってしまいます」

ご夫妻は温泉が大好きで、全国あちこちを回っている。特にラジウム泉で有名な秋田県の玉川温泉には年に2~3回ほど通っており、自宅の芭蕉温泉ともどもお気に入り。北海道から沖縄まで旅を楽しんできたが、たまたま九州だけはプライベートで足を運んでいない。これから2人で出かける計画だとか。

 最後に、なぜ那須を選んだのかと光由さんに聞いたところ、「かっこいい。那須の御用邸もあるし、子どもの頃から憧れていたんですよ。そのDNAが残っていたのかな」という答えが返ってきた。