雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『大震災を乗り越え、那須で夢の生活を実現』
コーヒーと手作りケーキの店「私のシャングリラ」・・・片瀬 和喜子さん
静けさに包まれた「芭蕉温泉ランド」分譲地の管理事務所から歩いて2分の林間に、六角形を組み合わせたユニークな建物が見える。エントランスに書かれた「私のシャングリラ」という文字は、不老長寿の理想郷・シャングリラを描いたイギリスの小説「失われた地平線」から名づけたもの。そう、ここは店主の片瀬和喜子さんにとって、長年の夢を実現した理想郷なのだ。
「若いときから別荘地で暮らすのが夢だったし、ここでは好きなバラの花も植えられる。何より那須で多くの人と仲良くなりました。1年半前に店を始めたとき、陶器やステンドガラスなどいろんなお店を訪ねたんですが、みんな良い方ばかりなんです。 店の形に合うからと、オランダ製のテーブルをプレゼントしてくれた方もいるんですよ。また、『第九の会』というコーラスグループにも入ったんですけど、音楽のあとの食事会ではいろんな人とコミュニケーションができて、その楽しさは都会ではとても味わえません。いま、私は本当に幸せです」
その明るい声の裏には、辛酸な過去が隠されていた。関西出身の片瀬さんは音大を経て日本一の広告会社・電通に入り、順風満帆な人生を歩むはずだったが、結婚生活で挫折。それでも40年前から手がけたヨークシャーテリアの飼育に活路を見出し、20年前から独り暮らしを続けてきた。ところが10年前、阪神大震災で自宅が全壊。15匹の犬を仮設住宅で飼うこともできないため、壊れかけた4畳半1間に5カ月間も住み続ける。
「どこか遠くへ行きたい、と心から思いました。そのうちこの分譲地に勤めている従姉妹から、貸別荘で体験入浴ができる話を聞いたんです。 私は生まれつき足がちょっと悪いんですが、この温泉に入るとリハビリになるんですね。これはいいと思って、家を建てることにしたんです。いまでも自宅の温泉で運動しているので、調子はすごくいいですよ」
彼女はすぐに家を建てたのではない。分譲地に移り住む前に、その従姉妹の紹介で犬のしつけ教室を主宰している歌手の佐良直美さんのところに、食事の世話係として4年間勤める。30人分もの食事を賄い、調理師免許まで取得した。60代後半になってからの話だ。
「何とかなるだろうとチャレンジしてきただけ」と本人は言うが、その前向きな生き方には頭が下がるばかりである。 現在は親子21匹のヨークシャーテリアの飼育を続けながら、店ではコーヒーと手作りケーキで客をもてなしている。
ケーキ作りは30年以上のキャリアがあるそうで、この日ご馳走になったブランデーケーキは、それぞれの色が出るよう白のラム酒で別々に漬け込んだ胡桃やチェリーなどを生地にちりばめ、脇に丹波栗の高級品種・銀寄(ぎんよせ)のブランデー漬けも添えてある。これで300円。自家焙煎のコーヒーも500円の安さだ。
「ケーキはだいぶん完成に近づいてきました。私は1つのことに打ち込むととことん凝る性格なんです。 だから全然もとがとれないの」と微笑む。 美味しいケーキを食べたい方はもちろん、ちょっと元気を分けてもらいたいという方も、一度お店を訪ねてみてはいかがでしょう。
■「私のシャングリラ」 TEL.0287-64-1860
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