那須で「すばるの家」を部材からセルフビルド!

雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『那須で「すばるの家」を部材からセルフビルド!』

尾崎昂夫さん、正枝さんご夫妻

那須の「みやびの郷」分譲地内で、ログハウスをセルフビルドしているすごい人物に出会った。定年を迎えて間もない尾崎昂夫(たかお)さん、正枝さんご夫妻である。田舎暮らしブームの昨今、セルフビルドは別に珍しくないし、約10坪という建坪も小さい方だろう(2階にロフトあり)。何がすごいかと言えば、地元の檜を部材から自分で加工していること。大工と一緒に在来工法に取り組んだり、ツーバイフォーの材料を取り寄せたり、キットログを組み立てるケースはよく見かけるが、ここまで徹底してセルフビルドに挑戦している人は本当に珍しい。

「105mmの角材に接合部分の欠き込みを作るため、溝切りカッターで削っていくの。自分の背丈まで独りで組み上げなきゃならないから、長さは4mを基本にしたんだ。ここでは檜を250本使っているんだけど、この材は乾燥すると堅くて手に負えない。だから材木屋に半乾きのものを頼んで、屋内で炭を燃やしながら少しずつ乾かして使っている。その他の材木は2×4、2×6、厚さ25mmの床材だけ。そこが安く済ませるポイントだね。だから余ってちょうど良い部材が出てくるまで、調整しながら木を使うんだ」

昂夫さんがセルフビルドに着手したのは1年前。基礎は業者に頼んだが、その後はせっせと木材加工に取りかかる。背丈以上の部分の組み上げや屋根のシングル材を張る作業は、さすがに独りではできない。そこで昔からのアマチュア無線仲間に声をかけたところ、水道・ガスの工事関係を含めて手伝ってくれた。しかし、まだ建物の箱ができたに過ぎない。家にはドアや窓も必要だが、昂夫さんはそれも自分で作ったというから大したもの。とくに窓はガラスを1枚1枚カッターで切断し、それが納まるよう窓枠も細かく削った。これから冬対策として二重のペアガラスにし、曇らないようシリカゲルも入れる予定だ。手作業だけに建物に隙間も見えるが、余った材料で塞いでいくつもり。そこはご愛敬だろう。総予算は300万円。水洗化の合併浄化槽を含んだ数字だから恐れ入る。

東京都練馬区に本拠を持っている尾崎家だが、環8に近いため静かな住宅街が激変してしまった。つねに車が往来し、近くの遊園地で花火があると煙が入ってくる有り様。いつしか自然を求める気持ちが強くなった。たまたま昂夫さんが栃木県宇都宮市に単身赴任し、黒磯市のアパートに住みながら田舎暮らしができる土地を探し回った。やがて那須連山を一望できる「みやびの郷」分譲地に巡り合い、3年前に購入を決断。東京でも車庫を作るなど日曜大工が得意な昂夫さんは、ここでセルフビルドに取りかかる。といっても最初から母家を建てたのではなく、とりあえずは2×4材などで仮住まいの1番小屋、荷物置き場の2番小屋を建築。当初は現在の母屋を3番小屋にして、本宅を脇に建てるつもりだったが、「もうこれくらいでいいや」と思い直した。セルフビルドは定年を迎えてから本格化するが、昂夫さんには病院通いを余儀なくされた持病があり、2日に1日しか体を動かせない。畑作業だけで終わる日もあるという。

妻の正枝さんは東京で働いており、週末に那須へやってくる。ここへ移住する気はないようだが、「建物のペンキは私が塗ったんです」というから、実は田舎暮らしが嫌いではない。病弱なご主人を独りにさせる不安もあるので、今の生活スタイルがこれからも続きそうだ。微笑ましいのは台所を建て増しし、その2階が物干し場になっていること。下町の風情が漂うログで、奥さんも那須の生活を楽しんでいる。

玄関脇には「すばるの家」という看板。まわりの住民が昂夫さんの「昂(たかぶる)」を「昴(すばる)」と読み違えたのを逆手に取ったものだが、むしろ創作した者にしかわからない気持ちのたかぶりがこの家には表れている。完成予定を訪ねると、「いや、完成することはない」と言い切った昂夫さん。風呂場もまだだし、計画変更しながら一生コツコツ作業を続けるのだろう。3年後の様子も見てみたいものだ。