休日は那須を基地に鮎釣り三昧

雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『休日は那須を基地に鮎釣り三昧』

河野清美さん、節子さんご夫妻

新井喜代志さんは週末毎に、「芭蕉温泉ランド」分譲地内のセカンドハウスへやってくる。目的はズバリ鮎釣りだ。彼は半端な釣り好きではない。シーズン中はセカンドハウスを基地に「関東の四万十」と呼ばれる那珂川へひっきりなしに足を運び、友釣りに精を出す。これは餌を使わない鮎独特の釣り方で、おとりの鮎を使って野鮎の縄張り内に進入させ、攻撃してきた野鮎を掛けバリで引っかけるもの。栃木から茨城へ流れる那珂川は1998年の水害で治水事業が進み、清流が戻ってきた。そこで天然ものを狙うのだ。

「天然の鮎は河口2~3kmのところで卵を産み、それから100kmも遡上してくる。背ビレがしっかりしたものでないと、そこまで上がってこれないんですね。川には放流の鮎もいますが、天然鮎はかかった瞬間の引きが全然違う。釣りは端から見るとのんびりしているかもしれないけど、釣り人は心の中で常に葛藤しています。本当は短気な人が多いんですよ」と熱く語る。

ここには大きな自家用車以外に、軽トラが1台ある。セカンドハウスでは珍しいが、購入の理由は「釣りで細い道に入るのに便利だから」だとか。自分だけでなく、釣りを教えた友人も毎週ここにやってくる。まさに釣り三昧の生活だ。もっとも、喜代志さんは釣った鮎をご近所に振る舞ったりするが、ご本人は海の魚しか口にしないというから面白い。

妻の八重子さんは「夫は何をいっても聞かない人だから。私はここにくるとお掃除おばさんなの」と諦め顔だが、那須の暮らしには満足している様子。

「マンション住まいのさいたま市は、一日中明るい感じ。ここで真っ暗な夜を初めて見たときは、本当にびっくりしました。月もきれいなんですよ。家に温泉を引いてあるんですけど、普段は水仕事のあとに手が荒れるのに、ここでは荒れない。お湯の成分がいいんでしょうね」

喜代志さんはJRを退職してから運送業界で働いていたが、現在はコンテナ関係の職場にいる。特殊な技術を必要とするため、なかなか辞めさせてもらえないのだとか。定住できないのはそのためだが、いずれ移り住みたいという気持ちは持っている。出身は埼玉県の山村で、荒川のすぐそばで育った。釣りはそのときに覚え、その行動範囲は関東一円に広がる。那須との出会いは10年前。

「忘れもしない9月23日、秋分の日です。那須に遊びにきたら、インターが混んで下りられない。それで白河まで行って一般道を引き返したんですが、余笹川の鮎釣りを見かけちゃったんですね(笑)。関東では投網が入る時期ですから、まだやっているんだと目の色が変わった。その釣りのために土地を買って家を建てたんですけど、山の中の100坪は狭く感じたんです。4回ほど買い増しして、いまは470坪になりました」

この日は野外炉で、自慢の鮎と下仁田ネギをご馳走してくれた。鮎は味が濃く、ネギは甘みがたっぷり。冬は何をやっているんですかと聞いたら、「畑の土づくり。釣り以外のこともやらないと、妻に怒られますから(笑)。でも、本当は釣りだけを考えていたい。せめて夏場の3カ月だけでも、仕事を休ませてくれないかなあ」と話す。

 やはり、頭の中は鮎釣りのことでいっぱいなのだ。