那須で始めたシンプルライフ!

雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『那須で始めたシンプルライフ!』

今岡憲治さん、宮本悠子さんご夫妻

家族連れで賑わう那須高原の南ヶ丘牧場。そこから歩いて10分ほどの林間に、日本開発企画が販売を開始した新しい分譲地がある。建物が少なく、小川や雑木林などの自然もたっぷり。そのせせらぎのすぐそばに、白壁のおしゃれな家が建っていた。まだ入居して50日という今岡憲治さん、宮本悠子さんご夫妻のマイホームだ。ご主人は住民票を移しており、すでに自治会にも入っている。

 「すごく歓迎されました。ここは戦後の開拓地で、80代になる地元の方が住んでいる。野菜をもらったり、『牛フンあげますよ』と声をかけていただいたり、何かとお世話になっているんですよ。敷地は300坪で、うち200坪くらいが緩傾斜地です。畑は72平方メートル作っていますが、雑木林だから日当りの問題があるんですね。でも、木はなるべく伐りたくない。むしろシンプルライフがベースで、その調味料として畑がある、というような生活です」と憲治さん。

埼玉県越谷市ではマンション住まいだったが、市民農園と農家から借りた畑で野菜作りを楽しんできた。退職が間近となり、いままでの趣味を生かそうとネットで土地探しを開始。長野県の山奥にも候補地はあったが、車の運転ができない奥さんには交通の便が悪すぎた。那須は越谷からドア・ツー・ドアで2時間と近く、ご家族が遊びに来るにも都合がいい。最初は山の見える場所も考えたが、「営業マンの人に『風が強いからやめた方がいい』と言われました。私は景色も捨てがたいものがあったけど、ここは3分も歩けば山が眺められる。南ヶ丘牧場まで歩けば、那須塩原駅や黒磯市内へ向かいバスも出ているんですよ。まだ乗ったことはないけど、いざというときに便利だと思ったんです。昨年の11月に探して、12月に契約して、4月に着工して7月に完成だから、行動を始めて1年も経たないうちに住んでいるんですね。不思議な感じがします」と妻の悠子さん

彼女は金曜日から月曜の朝まで那須で過ごしている。平日は社会人に開講している大学へ通い、そこで日本文学を専攻しているというから驚いた。いま大学3年で、大学院への進学も考えている。どういう人生になっても順応できるよう向こうのマンションは残してあり、田舎暮らしに力みはない。おもに夫が週末だけ田舎へ通うスタイルを「金帰月来」というが、こういう「金帰月来」は珍しいケースだ。

一方、憲治さんの那須ライフはあくまで自然流。9時頃に起床して、午前中はのんびり過ごす。午後は畑に出たり、車で道を覚える日々だとか。黒磯の知り合いにチョロとニッチという2匹の子猫をもらったばかりで、独り住まいのときも寂しさはない。畑ではカボチャ、ニンジン、サツマイモ、キャベツなどを栽培しており、1年目とは思えないほど土が黒々。向こうで育てた苗も運んだそうで、作物が生き生きとしている。畑のまわりはナラ、クヌギ、クリなどの雑木林がまばらに生えているが、収穫したヤマグリでクリご飯もつくったとか。敷地内の清流も清涼感たっぷり。お子さんやお孫さんが遊びにくると、そこが絶好の遊び場になる。

 買い物は生協の宅配システムを利用しているが、夫婦一緒のときは外にも出かける。とくに3ヶ所ある「道の駅」はよく利用しており、ソバを食べたり、野菜を買ったりしているそうだ。那須の冬は未経験だが、家は外断熱工法、ペアガラスを採用した。暖房は『ホットマン』という商品名の温水ルームヒーターで、「温水のコンセントがあって、冬だけ設置できるんですよ。夏は片付けられるので、邪魔になりません」という。次のシーズンも備えは万全だ。