仲間と一緒だからモノ作りが楽しい!

雄大な那須高原をキャンバスにして、思い描くリゾートライフやセカンドライフ、田舎暮らしの夢は人それぞれ違います。別荘として家族や友人と過ごす週末リゾート、晴耕雨読の自給自足、無農薬野菜や有機野菜栽培、喫茶店やレストラン経営、趣味を生かした工房、アトリエオーナー。のんびり釣り三昧、秘湯巡りなど、既に那須高原で夢を描き始めた方々の那須暮らしをご紹介いたします。
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『仲間と一緒だからモノ作りが楽しい!』

那須たんぽぽ倶楽部

12月22日は忘年会を兼ねた、那須たんぽぽ倶楽部の餅つき大会。午前中から大空の下で木の杵と臼を持ち出し、ペッタン、ペッタンと餅つきが始まった。杵を持つのは那須の移住者ばかり。まわりを仲間が取り囲み、「若いなあ」「まだリタイアするのは早かったんじゃない」といった声が飛ぶ。みな笑顔で、とても楽しそうだ。

那須たんぽぽ村は地元の室井英一さんを中心に、那須エリアに移り住んだ人たちが集うコミュニティ。5年前に結成され、現在のメンバーは21世帯、約40名にも膨れあがっている。そのほとんどが60代。団塊の世代よりも上だが、実にアグレッシブだ。毎月ミーティングを開き、さまざまなモノ作りに挑戦。スケジュール表を見せてもらうと、2月はキノコ(シイタケ・マイタケ・ナメコ・ヒラタケ)の植菌と味噌作り、3月は竹林の草刈り、4月はザゼン草を増やすための除草作業、5月はタケノコの水煮作り、6月はイチゴジャム作り、7月はカジカ捕り、10月は芋煮会、11月はユズの収穫、そして本日の餅つき大会といった行事が並んでいる。夏冬を問わず1年中、仲間が集まって田舎暮らしを楽しんでいるのだ。

餅つきも本格的。石で組んだ炉に釜を設置し、餅米を蒸かしている。つきあがった餅は室内の調理室に移され、1口大に小分けして納豆餅やダイコン餅に。その作業をするのは、数年前まで都会で暮らしていた女性たちだ。総勢10人はいるだろうか。この日が誕生日という小原さんに、普段の活動を聞いてみた。

「陶芸の釜を持つのが私の夢。それが那須で実現しました。ほかにも陶芸の仲間が4、5世帯いるんですよ。あと竹細工とか木工とか、初めて体験したものもありますね。それぞれ得意分野があるので、みんなで教え合うんです。村長の室井さんがこういう場を提供してくれたから、いろんなモノづくりができる。住んでいる地域のつきあいとは別に、那須のあちこちから集まる仲間がいるのは楽しいですね」

 小原さんのご主人は倶楽部を立ち上げるときに活躍した人だが、現役時代は職場と家庭を往復するだけの仕事人間。定年前に那須へ移り住み、2カ月だけ月12万円の新幹線通勤も体験したという。

「埼玉に住んでいるときは通勤に2時間近くかかったんですが、新幹線だと思いのほか早く着くので、逆に疲れを感じました。2カ月もやれば充分ですね。リタイアしてからは生活が180度変わりました。まったくのスローライフで、時間に制限されないから楽しいんですよ。やることが多くて、退屈する暇がない。たまにゆっくりしたいと思うくらいです(笑)。例えば、ユズは160kg収穫してママレードを作るんですが、1世帯1オンスの瓶で30個の割り当てになる。すごい量ですが、それでも足りないという人がいるんですよ」と語る。

農作物を収穫するには、施肥や草刈りも欠かせない。それをみんなで手分けしながらやっているのが、このグループのすごいところ。最後に、村長の室井さんに仲間の印象を聞くと、「那須に住むことが目的ではなくて、住んだあとにどうするかが問題でしょ。移住者の半分くらいは自分のことだけで、人間づきあいをしない。ここに集まっているのは、その大切さを理解している人ばかりなんですよ」と話してくれた。

 理想的なセカンドライフはどうあるべきか、那須たんぽぽ倶楽部の活動はその模範解答の1つだろう。

※那須たんぽぽ倶楽部の様子は下のHPでも詳しく紹介しています。